民法の改正案、衆院可決!

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2015年3月に改正案が国会に提出されて以来、2年経った昨日(2017年4月14日)衆議院本会議で可決した。

日本経済新聞社 2017年4月15日(土)14面には「契約 消費者保護に軸足」民法120年ぶり大改正 低金利・ネット普及背景  とあります。

事業者にとっては「約款のルール」が新設されたことが大きいでしょう。確かに!
ここでも記載されていますが、ネットサービスなどの業界では影響が広がる可能性がある。
また、この約款の新ルールを巡っては「企業間取引で使う契約書も定型約款に含まれる場合があり得る。企業は内容の確認作業が不可欠」との指摘も研究者や弁護士などから上がっている。 とあります。

※当サイトでご案内しております「もの」「サービス」「販売」の3類型の契約書(ひな型)『製造委託契約書』 、 『企画業務契約書』 、 『販売店契約書』 )につきましては、このテーマを「外注化」(「業務委託」)に絞り先取りしたものであり、企業に求められる今後の契約についての概念&理論を併せご参酌いただければ、この度の民法改正の趣旨理解と今後の事業革新(契約戦略)とその実践に使えるものであると確信します。ご不明点はお問合せください。

尚、日経新聞だから仕方がないのでしょうか?
どうして「消費者はネットサービスの契約に際して、〇〇と××の確認作業が不可欠。約款の新ルールの内容を確認すべきである!」等との指摘が、弁護士などから上げっているとならないのでしょう?

「消費者保護に軸足」というからには、その軸足の内容について、紹介され、消費者がどう行動するか(どう内容確認するのか)、語られてしかるべきではないだろうか。
また、この大改正について、国会でどれほどの議論がされたのでしょう。

先般来、国会で議論されていた(汚染された土地の売買を巡る)「瑕疵担保責任」に関しても一部改正されますが、肝心要の議論がされず、またこの120年ぶりの大改正が、ほとんど報道もされず、衆院可決という結論のみが報道されている実態とその内容(上記の日経記事の記載)に、不安を感じるのは、私だけでしょうか。(他紙も確認してみますが、・・原田)

ネットサービスにおける契約上の問題は、約款内容(のみ)にあるのではありません。約款をベースとはしていますが、【重要事項】説明や【注意事項】また「キャンペーン」等(以上、「特約」)が約款に優先適用されるという「しくみ」のもとで契約が取り交わされているところに現在の問題発生の根があります。(にも関らずこれらの「特約」を消費者が読まない、聞かないで、クリック一つで契約してしまっている(契約せざるを得ない)現実上の問題。
(→ネットサービスとは、こういう特質(実態、リスク)を内包しているサービスなのです。このような益々複雑化、情報の高度化する実態社会を生き抜く一般国民には、「契約自由原則」等の法教育が義務教育課程でなされるべきでもあります。原田所見。)

約款の内容が問題というより、約款を「特約」で事業者の都合の良いように修正して契約締結する仕組みが容認、常態化されている(法的に縛っていない)点が問題なのです。「契約自由」原則のもとに、一方当事者の理解の及ばない方法で契約が取り進められているのです。
(もちろん全ての企業がそうであるとは申しておりません。自社の都合のみを条項化した契約締結はいずれ破綻し、当事者も経営破綻しますが、一定の期間、被害を被る善良な消費者も生じます。経済的には両者にとって不合理であり、法は経済合理的にも積極的責務を果たすべきものです。また、その救済のためにはスピードが必要であり、120年間もの間、基本法としての民法が改正されずにいたこと事態、また以下のような実態を見るにつけ、今後においても継続して多くの課題をかかえていると思われます。2017.04.20追記)

 【重要事項】説明書等の「特約」の内容は20ページ前後に及ぶものがあります。約款や関連する法律(割賦販売法等の強行法規まで)を含めると100ページを超える場合もあります。これをすべて読み込み、理解し、契約締結する消費者はどれほど居るでしょうか。IT技術理解なしに、その「特約」等を理解することは多くの消費者にとっては困難でもありましょう。まして、これがネット上(ホームページ、ウェブサイト)に記載すれば済むとなると、尚更のこと消費者には実質、目の届かない(確認することなく押印してしまうことを追認すること、追認せざるを得ない)ものとなります。
さらには、契約内容の変更について、メール通知を発すれば済むなどの「特約」も一部契約実態として存在します。

このあたりが、今回の約款のルール化でどこまで仕組みとして「消費者保護に軸足」を置いたものとなっているのか、実質救済につながるものとなっているのか、法に関る者は、消費者と共に確認を行っていかなければなりません。(→問題である契約約款、特約を瞬時に判断するAI活用が求められるのでしょうか!?)

ネットサービスに限らず、他の多くの「契約」行為自体がネットを介して行われるようになるでしょう。そのことに関しても、積極的に注視していかなくてはなりません。これは企業間の契約においても然りであり、ネットを介して契約締結がなされるということは、イコール「定型的な契約書」(=「約款」的な画一的な契約書)で実質の契約締結がなされることに他ならないからであります。

尚、定型約款の定義については、形式的には次のようにされています。
定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。)において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。

新たな時代に向けて、上記の「もの」「サービス」「販売」の3類型の契約書(ひな型)を提供する根拠はここにあります。

また、先にご案内しました、こういうことがなぜ条文化されないのか!要綱案には含まれず、今回条文化はされない。こういう実態を知ることが、「消費者保護に軸足」を超え、「消費者 主権」の推進(「国民主権の国家」への歩み)へ繋がるのでしょう。
今後、気づいたことを発信します。以上、2017.04.15現在の原田の所見とします。

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