民法改正の目的

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2009年10月法務大臣(当時、千葉景子大臣)から法制審議会へ諮問がなされました。
諮問第88号:
「民事基本法典である民法のうち債権関係の規定について、同法制定以来の社会・経済の変化への対応を図り、国民一般に分かりやすいものとする等の観点から、国民の日常生活や経済活動にかかわりの深い契約に関する規定を中心に見直しを行う必要があると思われるので、その要綱を示されたい。」

これを受けて、2015年3月、民法改正案が国会に提出されましたが、目的は2つです。

第一に、民法制定後の社会・経済(市場)の変化により、当時には想定していなかった多様な契約形態(リース契約、フランチャイズ契約、約款を使用した契約等)や取引形態(電子商取引、流動集合財産の譲渡担保、所有権留保等々)に対応することであり、これらを一般原則化した規定を民法に取り込む必要があること。

また既存の古典的ルールの中には、見直しが必要なものがある。
例えば、特定物売買における危険負担の債権者主義(民法534条1項)、特定物買主に瑕疵修補請求が認められない(民法570条)等。

さらに、グローバル化対応が求められています。市場が拡大するとともに、統一した契約法が求められます。いわゆるグローバルスタンダードとしての契約法とする必要があります。【標準化への対応】

(一方で、固有の利益と規範の維持とのバランスを取りつつ斬新的に進めるべきとの意見もある。)『民法改正を読む』(松尾弘、慶応義塾大学出版会P5)

第二に、国民一般にわかりやすい民法にすること。

わかりやすさには、2つの内容があります。

一つには、文章がわかりやすいということ。

もう一つの意味は、確立したルール、とりわけ確立した判例ルールの明文化です。実際に拘束力を持っている民法のルール(判例法理等)がきちんと法典の中に書かれていることです。『民法改正』(内田貴 ちくま新書 P114)

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