『第4次産業革命とものづくり上』(木村英紀 早稲田大学招聘研究教授:日本経済新聞2017年9月7日『経済教室』)において、筆者は次のように述べている。
「暗黙知に基づく現場力を妄信するのは時代遅れであり、システム化に逆行する。
全体のマネジメント視点で自分のポジションや守備範囲を理解・評価し、必要な時には他の分野へ越境できるような広い視野を持つ人間の組織が現場に必要になっている。そのような組織が作られた時、システムの時代に強い現場力となるであろう。常に全体の視野の中で個の役割を考えるシステム思考を日本の社会に根付かせ、体現する人材を育成することが課題である。」
古くて新しい課題であり、この課題に対する対応策の第一(ステップ)が「業務の見える化」であると、私は考えています。
また、続く『 第4次産業革命とものづくり下』(西岡 靖之 法政大学教授:日本経済新聞2017年9月8日『経済教室』) においては、
『生産データの基盤構築を』と題し、「ディープデータ」という消費者データ(ビッグデータ)とは異なる「生産データ」の価値に言及し、「ビッグデータ」とは異なる扱いがなされるべきであると提言されている。
すなわち、以下のとおりです。
データ(ディープデータ)が持つ価値を正面から議論し、国際的な合意をとりつつ、それが生み出す収益の正当な再配分のしくみを構築する必要がある。
セキュリティなど技術的な課題もクリアしながら、知的財産に関する制度的な整合性や、経済性も兼ね備えたディープデータのためのプラットフォームを日本から提案すべきである。
このことは、先の拙ブログ「業務の見える化」の以下の記載が参考になります。
『もちろん上記の(1)における「業務の見える化」と(2)で述べた「契約相手に 対する情報の開示」とは異なります。(究極的に一致に至る場合もあります。「事業統合」の場合です。一致しないと「事業統合」は成功しないでしょう。)
なお、「業務の見える化」という場合、一般的には(1)「自社、内部」をその対象としています。』
すなわち、「社内、内部」管理ないし統制上の「業務の見える化」と外部の「契約相手」に対する情報開示とは明確にその対応方策を峻別する必要があります。
具体的には、これも拙ブログ今求めるコンセプトは「契約>法律」が参考になります。
すなわち、西岡先生も言及されておられますが、整合性を取る必要があります。しかしながら私は、制度や法律ではなく、「契約」で厳正に守るべきものであると考えるものです。
個々の企業の契約戦略のテーマとすべきです。
⇒知的財産権をどう守り、他者とどう協働契約を締結し、共通の目的をどう実現していくかのテーマです。そして、他社との連携・協働においても「業務の見える化」は必須と考えます。