日本企業に必要な「ルール形成戦略」ー日経記事への所見ー


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当サイト『契約の結び方「具体論」>「契約」の戦略的志向について』にご紹介いたしましたが、 2016年7月4日(月) 日本経済新聞社『私見卓見』_opinion へ多摩大学ルール形成戦略研究所 所長 國分 俊史 氏より表題のとおり『日本企業に必要な「ルール形成戦略」』との投稿がなされていますので、紹介いたします。

これは個々の企業同士の「契約」における戦略とは異なり、『社会課題の解決を志向した新たな市場の必要性を提唱し、「標準化」と「規制」を組合せることで、事業性と課題解決が両立する秩序づくりを目指すもの』とされています。

しかしながら、ここに挙げられている課題『ルールを「適応すべき所与のもの」と考える傾向の強い日本企業は、こうした取組みが欧米に比べて著しく立ち遅れたままだ。これが近年、日本発の巨大イノベーションが生み出されなくなった理由のひとつであるとも考えられている。』は、個々の企業同士の「契約」における戦略にも求められる課題であると思われます。

しかしながら、私は、個々の企業同士の「契約」における戦略に必要なのは、社長直轄の「最高ルール形成戦略責任者」ではなく、むしろ「契約現場のリーダー」だと考えています。

その根拠は創発的戦略」で述べたとおりです(→「創発的戦略」によるボトムからの思考と実践→「『業務委託契約』によるPDCA実践の時」と提案)。したがって、「ルール形成戦略」を提言される國分氏と見解を異にしています。

これは、「ルール形成戦略」は「社会課題の解決を志向」するのに対し、当サイトが対象とする「契約における戦略」はあくまでも「現場発により個々の顧客価値の実現や社会的存在意義の評価を志向」するという主体のパーパスミッションを事にするからでしょうか(→「仮説」とします)。(下記の*【注1】を参照)。

私は、個々の契約における企業も「社会課題の解決を志向」するものでない限り、永続し得ないと考えるものであり、志向する本質には異なるものがないと考えるものです。

さらには、先に施行された民法(契約法)改正には、グローバル対応が求められており、尚のこと同じ水平線を目指している感を強めています。

(一方、「社会課題の解決を志向」しなければならないにも関わらず、その志向の実態はグローバル、非グローバルを問わず同じ水準にあるとの危機感も強めています。)

*【注1】タイトル『日本企業に必要な「ルール形成戦略」』とあるように、ここでのルールは国際ルールを論じており、日本企業がグローバルで成功するためには、経営レベルでルール形成に取り組まなければならないとされています。
尚詳しくは、以下を参照されると良いでしょう。
『THINK別冊NO.6 グローバル経営戦略2015』(東洋経済新報社)
38ページ以降の羽生田氏、そして46ページ以降の國分氏の投稿。

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