「創発的戦略」に関して、各分野・各専門家から言われていますが、現場の実務を担ってきた者として、私なりに一言でいえば、「現場情報こそが重要であり、現場情報を如何に正しく把握するかを追究する営みである。」となります
なぜならば、「現場」こそが「顧客価値」(顧客ニーズ・満足)を生み出す「場」であるからです。
なお、次のようにも言われています。(私独自の考えも含みます。少しお付き合いいただければ幸いです。)
「事業計画立案部門」と「現場」(営業現場、生産現場、債権回収現場等すべての現場)」間の情報交流(トップ立案の「戦略・戦術・戦闘計画」と「戦いの現場が把握した実態情報」からのフィードバック情報)により「戦略・戦術・戦闘計画」を見直し、現場実態に即した「戦略・戦術・戦闘」を遂行しようとする戦略です。(『戦争論』:クラウゼビッツ<1780-1831>)
→戦いの鉄則を述べたものであり、この時代から『現場』発の情報が重要であることを言っています。(現場からのフィードバックが重要と読み替えることもできます。→現場の戦闘で勝利しなければ、戦略・戦術で勝利したとは言えません。あるいは個々の戦闘現場の状況が正しくフィードバックされなければ全体戦略で勝利することは出来ません。(→VS計画的戦略との比較解説)
もちろん、どのような時代においても「計画」すなわち「戦略」が重要であることには変わりはありません。(「戦わずして勝つ」という計画(「戦略」)すらあるわけです。しかしそれさえも「現場」(「現地」)情報を正確に把握分析して判断されるわけです。「現場」が壊滅的になった段階では誰も和議に応じません。すなわち「現場」が強くなければ、交渉は成立しないのです。)
『戦争論』はあまりに古典すぎると思われるかも知れませんが、現代において「P(計画)D(実行)C(チェック)A(アクション)サイクル」と言われますが、上の「(現場からのフィードバックが重要である。」と同趣旨です。人と人の関係性の原理は古今東西不変です。
しかも、情報化の進展、変化スピードの速さにより、計画を立てた段階では、現場は既に変化しており、恒常的に計画は見直されなければいけない事態になってきています。
如何に速く「現場情報を得るか」事業の成否は将に、ここにかかってきています。
そして今や、「自らのみが勝利する」時代から、「双方が勝利」しなければ、「事業に勝利」(「事業に成功」)したとは言えない時代となっています。 (winーwinが求められる時代)【地球も有限、すべて特に人や生物等の活動にサスティナブルが求められる時代】。
なぜならば、他の事業者との「(継続的)取引」すなわち「契約」による「連携」・「協力」ないし「共同」により、相互に利益を獲得(繁栄)し続けなければ、事業は継続的に成り立つことができないからです。
更に「契約によって実現」するべきは、契約当事者双方のミッション(存在意義や使命)である「顧客価値の実現」ないし「社会貢献」に繋がるものでなければならないものとなってきています。(存在意義や使命を果たさない事業は永続できません。「顧客価値」や「社会貢献」を実現し「顧客」「社会」から対価や評価を獲得し続けなければ事業は存続できないからです。)
ここに問われるのは「協働の関係としての契約」という新しい時代の「契約の概念」であり、これを「協働契約」ということが出来るでしょう。
契約当事者双方の協力、協働(「協働契約」)によって、「顧客価値」を創造し、「社会貢献」(「存在意義を獲得」)していくこと。
しかもそれは、契約当事者双方の「現場」から源泉が沸き出でるような「創発的」なものであります。(源泉の元はお客様のニーズやお客様の満足であり、これに応える続けることが事業の核心です。)
以上が時代的に必要となっている「創発的戦略」の意味内容です。
※ワンポイント:【ミクロの視点】と【マクロの視点】
私は、ミクロの視点が、私たち中小事業者には重要と考えています。すなわち、当サイト「契約の結び方(具体論)」の一連のページをご参照ください。
この中で、参考として【マクロの視点】の動向(「ルール形成戦略室」設置))の紹介をしておりますが、わたくしは、これ(「ルール形成」)こそが日本の「通商産業政策の課題」であり、同時に「中小企業政策」の重要課題だと考えています。
中小企業が強くなる(底上げを図る)政策を採らなければ、マクロな競争優位性、すなわち国際的な競争優位は徐々に失われてくると考えています。中小企業の「現場力」が、日本の「通商産業力の源泉」と考えるからです。この意味においても、「創発的戦略」(現場からの創発力)が問われています。
私は、まず出来る範囲から一歩一歩、「契約の結び方」につき「具体的に」提案(解説)し進めたいと考えています。(「契約」の正しい概念理解と「具体的」遂行が、マクロ(グローバル)にも繋がると確信しています。)
「契約の結び方(具体論)」へ ([法律上の「基礎」]についても解説しています。)
最後までお読み頂きまして有難うございます。感謝いたします。忌憚のないご意見・ご質問等をいただけますと尚うれしく存じます。そして連帯者(協働者)を求めます。よろしくお願いいたします。(2016年8月5日 原田 豊)
【追記(ご参考)】
「顧客価値」についての私のブログです。「顧客の定義」を誤ると、如何に現場を掌握したとしても事業は破綻するでしょう。(2016年10月3日)